ワンルームに居場所を重ねる

design / 設計のこと

ワンルームに居場所を重ねる

この家には、家族の気配がゆるやかに重なる、ひと続きの空間があります。

約30帖のLDKは、ただ広いだけではありません。床の素材が変わるところ、視線が抜ける窓辺、天井の高さが少しだけ変化する場所。そんなさりげない違いが、空間にいくつもの居場所をつくり出しています。


ふかふかのカーペットに腰をおろした瞬間に感じる、やわらかな安心感。

ふと見ると、お兄ちゃんが段差に腰かけて本を読み、奥ではお母さんが本棚の前でくつろいでいる。

お互いの存在を感じながら、それぞれにとって心地よい時間が流れています。

この空間は、はじめから3つのゾーンを重ねるように設計されています。

ダイニングキッチン、リビング、子供室。

それぞれの場所を壁で仕切るのではなく、床の高さや天井のかかり方、家具の配置によって

「つながりながら、ゆるやかに分かれる」構成にしています。

まるで重なったレイヤーの中に、気配の濃淡を織り込んでいくような設計です。

訪れたときに印象的だったのは、窓辺の小上がりで遊ぶ子どもたちと、それを少し離れたソファから見守る親御さんの姿。

声は届く距離にありながら、お互いがちょうどいい間合いでいられることが、暮らしを心地よいものにしているのだと感じました。

大きなワンルームを、どう心地よく使っていくか。

家具で仕切るのではなく、床や天井、本棚の構成によって“感じる境界”をつくっていく。

そんな設計の工夫が、住まう人のリズムに寄り添いながら、日々の風景を少しずつ豊かにしてくれるのだと思います。

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